
広島修道大学経済科学部 教授
郭 春貴
外国人に自分の母語を教えることが、いかに責任重大か常に実感している。自分の国に対する好き嫌いを左右する要素は大いに教師にあるのではないだろうか。
語学ばかりを教えようと思って、社会文化に触れる機会が少なくなる傾向があるのではないか、外国人の学生が言葉のロボットになってはいないかといつも反省している。
確かに文化については、学生は自分で勉強できるかもしれないし、限られた授業時間で語学も文化も教えるのは難しいかもしれない。しかし、その国の社会文化に興味が持てれば、その国の言葉を勉強する意欲ももっと高められるのではないだろうか。
2 0 何年間か日本で母語の中国語を研究しながら教えてきたことを振り返ってみると、語学の知識、教育法の知識はもちろん、中国の社会文化知識も必要だと痛感している。私の経験では、語学ばかり教えるクラスの学習雰囲気と学習成果より、授業中に、短い時間でも常に少しでも中国の社会文化を紹介するクラスの方が高いという傾向がある。
学生に語学授業の興味を待たせるもう1つの大切なことは、教員の魅力である。言うまでもないが、教員は常に人間として教養を高めなければならないだろう。学生に対して、人類の愛があり、常に笑い、思いやり、褒めれば、きっと素晴らしい授業になり、学生も自分の国に対する愛情が深くなるに違いない。
以上は私の母語である中国語を教える経験から思ったことであるが、皆様も母語の日本語を教える時に参考していただければ幸いである。
